文鳥飼育の一例

□ ケージケースを作ろうと思った。

鳥かごにケースかカバーを着けなければ、と思っていた。

一つ目の理由は、掃除の軽減である。文鳥の食餌はまことに行儀が悪く、頭を振って餌を飛び散らせながら食べる。フタ付きの餌入れを使えばよいのだろうが、餌は多種類あるし、餌入れから離れた場所で散らかしているときもあり、何より、私は文鳥の粗野な食べ方が気に入ったのである。それから、水浴び時の飛散防止。文鳥の水浴びは、水につかるのではなく、身体に含ませた水を撒き散らすことに主眼がある。これも、外付けの「アウターバードバス」などを使うのが一般的なようだが、私はユニットバスは嫌いなのだ。さらに換羽が始まった時点で、さすがに掃除の限界を感じ、何とかせねばと思った。

二つ目の理由は、保温。秋風がふき、落ち葉が舞う頃になると、気温の低下が気になりだし、文鳥は日本の気候に適応しているとはいうが、若鳥にとって最初の冬は試練ではないだろうか、などと増大する不安とともに、どうしたものかと思っていた。

それで、アクリル製のケースを買おうとは思ってはいたのだが、決心がつかずにいたのは、だいいちに、値段が高いからである。どのケースも、おおむね二万円以上し、高い割には後述する欠点が気になり、けっきょく、買わなかった。

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そして、次の案は、室内用のビニール温室である。小型のものは五千円以下からあり、これに鳥かごごと入れてしまえば問題は解決である。と思ったのだが、インターネット上でみる限り、サイズや構造にいくらかの不満があり、ホームセンターの園芸コーナーに行ってあれこれ見てみると、意外とかさばる上に安っぽい感じで、部屋においておくには鬱陶しいような気がしてきた。ならば、適当なラックにビニールシートを取り付ければよいか、と思ったが、どれが適当かということで色々考えていくと、けっきょく、小型の机などの上に置いて、アクリルケースに入れるのが良いと考えるにいたり、堂々巡りであった。

□ 既製品にたいする不満

先に挙げた中ではバード・モアの製品が相対的に優れているように感じたので、主にバード・モアの製品を念頭に不満をのべる。

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値段のことを別にすれば、既製品に対する不満の第一は底と天井を外せないことだ。まず、底板はカゴが網状の板の上に置かれているとき以外は不要なのであり、意味がない。また、鳥カゴの中のものや鳥自身を出し入れするときには、カゴの天井部分を開けて行うが、ケースの天井が外れないのでは、これができない。さらに、カゴ自体をケースから出すのもやりづらいだろう。たとえば、カゴにヒーターを設置した場合、コードはコンセントから横の換気口を通ってカゴの中へと伸びているが、これらを外して、カゴを取り出し、掃除をすることなどを想像してみると、実に面倒なのではないかと思われる。私は、掃除が面倒だからケースに入れるのであって、それでは本末転倒である。ケース自体も掃除する必要があるが、濡れ布巾などをケースの内側に入れて汚れを拭き取るのも面倒なのではないだろうか?さらに換気口も見るからに小さく、コードなどを通すことも考えれば、空気の出入りは全く期待できないように思える。組み立て式で、分解することもできるようだが、これもやればできるという程度のようだ。結局、私のような無精者がこれを用いた場合、カゴを入れっぱなしにしたまま、お座なりな掃除ですませ、汚れ自体は内側に溜まるからまあいいかということで、中は妙な臭いが、もわんと漂ったまま、文鳥が暮らし続ける、ということになるのではなかろうか。

もちろん、これは、ウェブサイト上で読める情報からだけの判断であり、現物をみたり詳しい説明を聞けば解ける誤解なのかもしれない。

次に、ケースの構造に柔軟性がないことも気になる。たとえば私の所有する「35手乗り」のためにあれこれ迷ったあげく「SLIM・扉なしM/35オーム・35手乗り用」19,400円を買ったとする。このケースは前面にアクリル板がなく、空いたままだが、とりあえずは問題がなさそうだ。しかし、寒さが厳しくなるにつれて、やはり前面もアクリル板があったほうが良いとなるかもしれない。だが、そのときには、前扉だけ買い足すわけには行かないのだ。前扉つきが欲しければ、「SLIM・扉ありM/35オーム・35手乗り用」33,200円を新たに買うしかないのである。それは勿体ないなどと考えて、ビニールシートを貼り付けたりするのだろうが、なんだ、それなら最初からペッズイシバシの「小鳥かごの防寒カバー」1,050円にしておけば良かったのだ。と、きっと後悔するだろう。仮に、三万円余を出して新しいケースを買ったとしよう。すると、今度は外付けヒーターが入らないことで後悔するかもしれない。しかし、親切にもバード・モアではそういった使用に対応したケースを販売している。つまり「WIDE・扉ありM/35オーム・35手乗り用 」37,200円を新たに買えばよいのである。

そんなわけで、どの製品を買っても、今後どのような飼育法をするのか分からない限り、だんだんと不満が溜まって行くような気がするのだ。私は文鳥の飼育に関して完全な初心者であるから、これから起こることの大半は想定外であろうし、飼育法も変化していくに違いない。だとしたら、消耗品と割り切って安物を使うか、自分でビニールを切り貼りしたほうが良いではないか。などと思いつつも、でもアクリルのがカッコいいな、と未練がましく、アクリルケースもどきを自作してみた。

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