文鳥飼育の一例

□ 文鳥の雛を買うことをめぐる諸問題

2008年の時点で、東京都内のペットショップでは、文鳥の雛(桜、白)は二千円から四千円くらいの価格で売られている。売られているのは、どれもほぼ同じところ(弥富文鳥組合など)から出荷された雛であるから、値段による違いはない。店による飼育状況の違いはあるが、高いからといって良好というわけではない。というわけで、移動が文鳥の負担にならないよう、なるべく自宅近くの店で買えばそれでいいように思う。

問題 その1 ペットショップで文鳥を扱っていない。

ほとんどの店が犬猫を中心に営業をしているのが現状だ。文鳥は空間や手間を必要とするわりに、値段が安く、飼育でも費用がかからない(つまりその後の利益につながらない)のだから仕方ないのだろう。あちこちのペットショップを回ってみるか、電話してきいて見るほかはない。東京都の場合は、足立区北千住にあるペットショップ鳥信か調布市にある工藤優鳥園ならば、いつも在庫があるようだ。また、コジマでも在庫の検索ができる。

yahoo!電話帳  動物、ペットまっぷ  ペットの専門店コジマ  ペットショップ鳥信  工藤優鳥園 

問題 その2 雛の状態が悪い。

私がペット店を見物した限りでは、それほど問題があるようには思えないのだが、雛が病気に感染している、栄養が不十分である、などの例が多くあるそうだ。

参考  ペットショップでの購入

心配ならば、対策の一つは、まともな店を選ぶことだろう。とはいっても、私は文鳥を買ったことは一度しかないし、店のよしあしは分からない。判断材料となるのは、保温してあるか、インコ類など他の雛と雑居していないか、掃除は行き届いているか、くらいだろうか。ほかには、給餌の頻度や内容を質問してみるとか、なるべく元気そうな雛を選ぶことなど。雛を買ったらすぐに獣医の検診を受けるべきだ、と勧める人もいる。

もう一つの対策法としては、雛の入荷日をきいておいて、その日にすぐ買いに行くことだと思う。これなら、卸からの直販とおなじで、ペットショップを受け取り場所として利用しているだけなので、感染症や栄養不良の可能性は、ずっと小さくなる。

問題 その3 差し餌できないが手乗りにしたい

一日四、五回の差し餌をする時間がない人も多いと思う。一人餌になった、あるいはなりかけの頃の雛(若鳥?)を買えればよいが、たいてい店では、成長の程度を選べるほど雛の種類をそろえていない。しかし、個人でやっているような(ペットショップというよりは)「小鳥屋」風の店ならば、相談に応じてくれると思う。

□ 個人的な体験

九月の下旬、平日のまだ早い夕方に、東京都調布市にある工藤優鳥園に文鳥を買いに行った。店内は鳥だらけで、主人らしき老人が背中をむけたまま掃除をしていた。文鳥の雛を扱っているかと尋ねると、老人が一瞬ふり返り、店の一角を指してまた向こうを向いてしまった。その一角には枡籠が積まれていて、なかに雛が何羽もいた。籠ごとに雛の周齢が書かれ、値段がたしか白文鳥は三五〇〇円、桜文鳥はもう少し安かったような気がする。老人にこれを一羽くれと言うと、老人は疑い深い目でこちらをみて、一日四回餌を与えられるのかと聞いてきた。はいと答えて、気難しい奴だと思っているところに、この老人の妻らしき老婦人が現れた。「あとは私がやりますから」と応対をかわった。この女性は、私が飼育経験がないことを確かめると、枡籠をあけて差し餌の手本をみせてくれ、あれこれと飼育の説明をしてくれた。この女性も、私に一日四回給餌できるのかと心配そうに尋ね、一人餌になりかけの、もう少し成長した雛の方を勧めたそうであった。良心的な店だとは思ったが、私はなるべく若い雛のほうがよかったので、三週と記された枡籠の中から一羽を選んだ。育て方を書いたプリントを一枚もらい、フゴや餌、給餌器などあわせて五千円くらいをはらって店を出た。

店では、文鳥を買うにはいまがいちばん良い時期だと、言われた。親鳥が八月の休みを終えて、体力が充実しているときに生んだ雛なので、丈夫なのだという。その真偽はわからないが、まだ暑さが残るくらいの時期だったので、保温する必要がなく、初心者としてはずいぶん助かった。

トップへもどる